過払い金返還請求については、最近ニュースでもたまに流れることがありますので、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。過払い金返還請求とは貸金業者に対し、払いすぎているお金の返還を請求する手続きです。
平成18年に「貸金業規制法」が改正され、その名称が「貸金業法」へと改められました。
そして、平成22年6月18日に完全施行されました。法改正以前には、出資法の定める上限利率と、貸金業規制法の定める上限利率が併存しており、その差の部分は、原則無効だけれども、条件次第で有効となりうるという金利部分であり、グレーゾーン金利と言われていました。
従来、このグレーゾーン金利で営業する貸金業者が多かった(ほとんど全ての業者)のですが、
グレーゾーン金利を有効と認める旧貸金業規制法43条の「みなし弁済」の規定は、これを厳格に解釈して適用を認めない判例が積み重ねられ、実質的に適用が不可能となりました。
そして平成18年1月13日、最高裁判所が「期限の利益喪失特約の下での債務者の支払いは、任意の支払いとはいえない」と判断したことにより、支払いの任意性を要件としていたみなし弁済は、ほぼ全てのケースで適用が否定されることになりました。これにより、以降グレーゾーン金利の支払いが有効な利息支払いであると裁判上判断されることはなくなりました。
そして、上限を超えて無効な利息の支払いは、残存元本に対して充当し、残存元本を減らすということができるようになりました。すると、取引期間が長期にわたる場合、元本が全て完済となるケースがあります。
元本が全て完済となっているにも関わらず、返済を継続していれば、完済後の支払いは、払いすぎであるということになります。過払い金返還請求というのは、このような場合に、貸金業者に対して払いすぎたお金返還の請求をするという手続きです。
上記のように、グレーゾーン金利による営業をする貸金業者と長期間取引があれば、過払い金を取り戻すことができる場合があります。
債務整理の手続きをするときには、その手続きの種類が自己破産や個人再生の場合でも、任意整理の場合でも、必ず過払い金が発生していないか調査してから手続きを進めます。
最初は、自己破産の手続きを選択していても、過払い金を調査してみると、依頼者の記憶違いで長期の取引があり、過払い金が戻ってきたおかげで、自己破産しなくてもよくなり、任意整理の手続きに切り替えるというようなこともあります。
また、自己破産の手続きにかかる費用を心配される方も多いのですが、過払い金が戻ったことにより、費用を過払い金で賄うことができて、本人の費用の負担がなかった、というようなこともあります。
このように、債務整理の手続きにおいて、過払い金はとても重要な役割を果たします。